2013年12月18日

大きく報道されました。ピルと血栓症。

ピルの副作用、血栓に注意を 5年で11人死亡例
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131217-00000010-asahi-soci


【阿部彰芳】生理痛の治療や避妊でピルをのんだ後に、血の固まりができる副作用によって、この5年間で11人死亡し、重症例が361件報告されていることがわかった。日本産科婦人科学会(日産婦)は緊急に注意を呼びかけたほか、厚生労働省研究班も実態調査に乗り出した。

 医薬品の安全を管理する独立行政法人の集計などによると、2008年〜13年上半期に、低用量ピル11品目で、血の固まりが血管をふさぐ血栓の重症例が延べ361件、副作用として報告されていた。死亡は11件で10代1人、20代2人、30代4人、40代1人、50代2人、不明1人だった。

 血栓は血の流れが遅い静脈にできやすく、ピルを使わなくても10万人あたり年5人の頻度で起きる。ピルはこのリスクを3〜5倍引き上げる。ピルに含まれる女性ホルモンが血液を固める成分の合成を促すためだ。副作用の報告はピルとの因果関係が不明の例も含むが、08年の33件から12年の105件に増え続けていた。

 ピルは避妊だけでなく重い生理痛や子宮内膜症などの治療薬として広がっている。子宮内膜症は、治療しないと不妊や卵巣がんのリスクが高まるからで、08年以降、2品目が保険適用された。日本家族計画協会専務理事の北村邦夫医師によると、ピルの売り上げは08年から4年間で約1・5倍に増え、利用者は推定100万人に上る。

 日産婦は今年2人死亡したことを受け、注意喚起した。血栓の前兆になる頭や胸、ふくらはぎの痛み、視野の異常などがあれば、すぐに専門医に診断を頼むよう求めた。北村さんは「事前に血栓が起きるかわからない。血栓は治療薬があるので、早く見つかれば重症化を防げる」と話す。

 厚労省研究班(担当=小林隆夫・浜松医療センター院長)は2千超の医療施設を対象に、ピルなどの女性ホルモン剤と血栓の頻度など副作用の詳しい実態を調べ、安全策を提言する。小林さんは「ピルは比較的、副作用が少ない薬だが、血栓が起きうると思って使うことが大事だ」と話す。
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朝日新聞社


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このニュースについて、ピルを処方されてる医師からもブログからの発信がいくつかありました。

吉村やすのり先生
http://yoshimurayasunori.jp/blogs/%e3%83%94%e3%83%ab%e3%81%a8%e8%a1%80%e6%a0%93%e7%97%87/#more-2466
ピルと血栓症

ピル服用女性には注意をしなければならない副作用に血栓症がある。外国人に比べて血栓症の頻度は極めて低いが、日本人の血栓症は、血液凝固系の検査では異常が認められない女性に発症することがほとんどであり、予知は難しいとされている。

 静脈血栓症のリスクを表に示す。ピルを服用していない若年女性の相対リスクを1とすると、低用量ピルを服用すると、3-4倍になる。確かにそのリスクは上昇するが、妊婦が血栓症になるリスクに比較すると1/3程度である。欧米では遺伝病であるライデン突然変異保持者が多く、家族歴として血栓症の要因を持っていることが多い。

 ピルで血栓症が増加との報道がでると、ピルの服用を中止する女性が増加することが予想される。しかしながら、ピルには数多くの副効用が存在することも事実であり、実際の血栓症のリスクも極めて低いことを理解しておく必要がある。産婦人科での健診を行った上で、適応の禁忌や血栓総の前駆症状を知ることにより、血栓症の発症を回避することができると思われる。ピルを服用することによる効用を忘れないで欲しい。
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四季レディースクリニック 江夏亜希子先生
http://happy.ap.teacup.com/akikoenat/1200.html?fb_action_ids=580475932032532&fb_action_types=og.likes&fb_source=other_multiline&action_object_map=%5B477118862405842%5D&action_type_map=%5B%22og.likes%22%5D&action_ref_map=%5B%5D

血栓症のサイン、見逃さないで!〜低用量ピルを安心して内服していただくために

今朝のYahooニュースで、このような見出しが躍りました。
「ピルの副作用、血栓に注意を 5年で11人死亡例」

今年に入り、このブログでも取り上げてきた「超低用量ピル・ヤーズ」で2例の死亡例が報告されたことを受け、11月には、産婦人科学会からもこのような緊急の注意喚起が出されていました。

低用量ピル(低用量経口避妊薬(LOC)/低用量エストロゲン・プロゲスチン合剤(LEP))は、確実な避妊のほか、月経痛の軽減、経血量の減少、月経周期の調整など、女性のQOL(生活の質)を向上させる薬剤です。
私は、女性の心身の健康を守る産婦人科医として、この薬を積極的に処方してきましたし、自分自身もこれまで愛用してきたことは、このブログでもこれまで書いてきたとおりです。

ただ、低用量ピルに対する社会の偏見や誤解は非常に大きいため、
当院では処方の前に必ず、
・ 月経周期の成り立ち
・ ピルの成分と作用、副作用
について時間を取って説明し、処方禁忌に該当しないことを確認し、
メリットとデメリットを納得していただいて内服開始することをお勧めしてきました。
その際に説明している内容を、ここにまとめておきます。

デメリット=副作用として、多くの方が心配される「がん」や「嘔気」「体重増加」などはあまり問題になりません。(乳がんリスクは不変、子宮体がん、卵巣がんはむしろ5〜6割に減少)
ただ、唯一、「命に係わる問題」になるのは「血栓症」です。

血液の中では、常に
「固まって出血を止めようとする働き(凝固)」と、
「固まろうという血液を溶かそうとする働き(線溶)」
のバランスが絶妙に保たれているのですが、
例えば、血管に傷が付く、破れるなどの問題が起これば、即座に血液を固めてその穴を塞ぎ、出血を止めようと準備しています。

女性は月経中や妊娠・出産で急な出血に見舞われることが多いわけで、
女性ホルモンの代表「エストロゲン」には、血液を固めようとする働きがあるのです。
これは、月経中や妊娠中、「出血を止めよう」とする働きを高めておくという意味で、
大変理にかなった役割ですね。

低用量ピルは、このエストロゲン(正確にはエチニルエストラジオール)を含むため、内服すれば、しない場合と比べ、血栓を起こしてしまうリスクが上昇することは間違いありません。
冒頭の記事にもあった通り、
通常の状態でも血栓症は10万人あたり年間5名程度の発症があるのですが、
ピルを内服すると、そのリスクを3〜5倍程度に上昇させてしまいます。
しかし、妊娠中や産褥にはさらにリスクが上昇します。
(こちらの慶応大吉村先生のHPに、リスクの対比が載っています。)

と、考えると、「あなたは血栓が怖いから、妊娠してはいけません」と言われることはないわけで、起こらない可能性の高い血栓症のリスクを恐れて、低用量ピルのメリットを得られないとしたら、これは非常にもったいないことです。

現時点では残念ながら、血栓症を起こす人、起こさない人を内服前に確実に判断できる方法はありません。
大切なのは、
1)リスクのある方は内服を避けること(得られるメリットよりデメリットが大きい場合)
(「低用量経口避妊薬(OC)の使用に関するガイドライン」参照)
2)血栓にならないよう気を付けること(ピル内服していない人も必要です)
(長時間同じ姿勢を取らない、脱水にならないようにする、長距離移動するときにはひざ下の弾性ストッキングを利用し、こまめに席を立つようにする、など。)
3)血栓の初期症状を見逃さないこと
この3点に尽きるのではないかと思います。

特に、内服している方にとって大切なのは3です。
血栓の「前触れ症状」で気づき、対応すれば、命にかかわるような状態は避けられます。
【気を付けたい血栓の前触れ症状】
・下肢(ふくらはぎ)の痛み;特に片側(左>右が多い)、同部を握ると痛みが増す
・胸(乳房ではなく)の痛み、息苦しい感じ
・激しい頭痛、前触れ(まぶしい感じなど)の後に痛む
・視界、視野の異常、目のかすみ
・片側の痺れ、ろれつが回らない、長く続く腹痛

疑わしい症状があれば、まずは処方を受けた医師にご相談いただきたいですし、
万一、激しい症状であれば救急医療機関を受診して
ピル内服中であることを伝えたうえで、血栓の可能性について適切な検査、治療を受けていただく必要があります。

次のエントリーで、血栓を早く見つけて対処できた実例を挙げますね。

※リンク先の江夏先生のブログではご自身の経験から血栓症か?と思われた場合の対処や検査法、症状などを詳しくご紹介されています。



ポートサイド女性総合クリニック ビバリータ 清水なほみ先生
http://plaza.rakuten.co.jp/hannjyuku/diary/201312170000/?scid=su_369

ピルによる血栓症リスク

ピルによる血栓症での死亡例について新聞で報道されたためか、血栓症が心配というお問い合わせが増えています。
 ピルはほとんどの方にとってとても安全に服用していただける薬ですが、血栓症という重篤な副作用がごくまれに起きるために注意は必要です。私のクリニックでも毎月1000シート以上のピルを処方していますが、開業から今までに明らかな血栓症を引き起こした方は2名ほどいらっしゃいます。検査のみで異常が出て、何も症状がない「血栓症疑い」の方は10名弱ほどいらっしゃいます。
 頻度はとても低いのですが、起きてしまうと命にかかわることがあるので、血栓症の可能性を常に念頭においておく必要があります。
 
 重篤な血栓症を予防するためには、次のような注意が必要です。
  1)血栓症のリスクが高い人はピルを服用しない
  2)血栓症のリスクを下げる生活をする
  3)検査や症状の確認で早期発見する
 
 1)の血栓症リスクが高い人ですが、クリニックでよく引っかかるのは次のようなケースです。
  タバコをすっている(本数にかかわらずリスクがあがります)
  肥満(BMI30以上はピルの服用ができません)
  片頭痛がある(前駆症状を伴う場合はピルの服用ができません)
  血圧が高い(薬でコントロールしていればピルは服用できます)
  40歳以上(すべての人がリスクが上がるわけではありません)

 この中でも一番血栓症のリスクが高くなるのはタバコです。タバコを吸っていない人に比べると、約150倍そのリスクが上がってしまいます。
 2)のリスクを下げることにもつながりますが、禁煙はピルを継続服用する上で必須であるといえます。
 その他にも、体重を適切に保つ、水分摂取をこまめにして脱水を防ぐ、長時間座りっぱなしにならない、といったことが日常生活の注意点として挙げられます。

 3)の早期発見ですが、静脈血栓症の早期発見には血液検査や下肢静脈エコーなどが有効です。ただ、簡単にできる検査で動脈血栓症を早期発見できる検査はないのが現状です。
 なので、血栓症の兆候としてよく見られる「症状」に注意することが必要になってきます。
 私のクリニックでは、用量にかかわらずピルを服用なさっている方には、来院時に毎回次のような症状がないかを確認しています。

  *激しい頭痛
  *胸の痛みや息苦しさ
  *持続する腹痛
  *ふくらはぎの痛み
  *目のかすみやみえにくさ

 これらの症状が出現した場合は、まずピルを処方してもらっている病院に相談してください。
 
 ピルは正しく服用すれば、安全で有用なお薬です。
 血栓症のリスクを心配するあまり、服用のメリットのほうが大きい方までピルをやめてしまうのはお勧めできません。
 リスクとベネフィットを比べて、ピルを服用するのか、他の方法で代用するのかを判断していってほしいなと思います。


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ブログのご紹介から長くなってしまいました。

先月末でしょうか、11月のとあるセミナーでも日本家族計画協会の北村先生とお話しした時に
血栓症の話が出ました。その時はヤーズの件でお話されてたのですが、日本でも他の薬剤でも血栓症の報告はあるよ〜とさらりとおっしゃったのですが、そうなのか!あまりニュースにならないなぁと思っていました。


血栓症を疑って受診という話や服用中止したという相談は、mixiでもgreeでもあります。
血栓症が出来てしまって中止してしまいましたというご報告をいただくこともあります。

何とお声をかけていいかわからないのですが、相談された方にあなたがピルを勧めたからこんなことになったんだといったことはありませんでした。
それでも、現在のユーザーさんに向けて何か不調があって、頭痛やふくらはぎの痛み・胸の痛みなど感じた場合は早めに受診をと呼びかけしてくださったメンバーさんが、とても心強かったのを覚えています。


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2013年もあと半月ほどになりましたね。
こちら九州もすっかり寒くなりました。
年末のご予定のある方は早めに婦人科受診を・・・と思っていたところ、このニュースが飛び込んできたので先生方もしっかり説明をしてくださるといいなぁと思っています。

私は毎年誕生日前後に婦人科検診を行っていたのですが、今年度は婦人科以外の健診もすることになりました。なかなか機会がないのでこの歳まで見て見ぬフリをしていたのですが、早期発見が出来るのであればと思い切って申し込んでみました。
来年も健康を維持できますように・・・と考えて、そういえば今年は大きな病気もなく不調もなく
比較的イキイキと過ごせたように思います。


posted by がる。 at 20:20| Comment(0) | ニュースから
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